ねらー跋扈の地

AichiKentarou2005-05-16

 2ch*1でカルトな人気を集めるリトアニア館。人気の理由はエンドレスでリピートされるリトアニア文化紹介ビデオの出演、制作者である友井史人氏がかなりのねらー*2であり、ビデオにおけるトークでもねらー独特のシュールでシニカルなセンスが端々に現れているからだ。
 リトアニア館を訪れるとねらーとおぼしき人たちが三々五々椅子に腰掛け、ビールなど飲みながら友井氏のビデオを楽しんでいるのが見られる。はからずも2chは万博の1国家パビリオンを占拠した形にもなっており、そのことは新聞などでも好意的に報じられた。日本の文化において2chが得ているポジションの隠れた高さが表れた格好だ。

*1:日本ネット史上最大掲示板である2ちゃんねるのこと

*2:2ちゃんねるに参加する人々のこと。2ちゃんねらーの略

旧東側の急進的文化国家、リトアニア

 リトアニア館に入って驚かされるのはその造形的センスのハイレベルさだ。館内はらせん構造となった帯状の鉄パイプがいっぱいに渦を巻いており、帯の内側には無数の映像が投射され続けている。DNA構造にヒントを得たのかとも思われるらせんに示された情報の渦はパビリオンに入った人々を容赦なく巻き込む。らせんは館内いっぱいに張り巡らされているので、入館者はどこをどう通ってどう出ればいいのかもわからない。この映像情報の迷宮は愛・地球博内でもトップを争うハイセンスなパビリオンではないだろうか。漠然と旧東側諸国の文化的後進性を感じていた自分は失礼と不勉強をわびる気持ちにすらなった。
 考えてみればリトアニアは大国間の争いに翻弄され不幸にも東側ブロックに組み入れられ虐げられてきたが、ソビエト末期にはその崩壊の序曲をならす存在ともなり、冷戦終了後には真っ先にNATOおよびEUに加入した先鋭的国家である。

必ず失敗する共産・社会主義とリトアニアの成功

 あたかも「西側なら良い、東側はだめ」という論調で書いているけど、これは評価が分かれがちな近現代史の事象の中でも割とハッキリ言い切ってしまえる事ではないだろうか。あきらかに共産・社会主義は失敗だった。なぜならそこには自由と平等がなかったから。どんな体制でも自由と平等があれば問題はいずれクリアできる。しかしそれを大幅に制限する共産・社会主義体制は必ず腐敗し、失敗した。
 一方、リトアニアがまだ様々な問題をはらめど旧東側諸国の中で最もスムーズに発展し、高い民度を保ち、その現れとしてのハイセンスなパビリオンを万博に単独出館するに至っているのは、リトアニアがきわめて高度な自由と平等を国民に与えているからだ。
 たとえばリトアニアは独立後、仇敵であるロシア人やポーランド人も含む全ての住民に分け隔て無く国籍を付与している。その後公用語リトアニア語を復帰させる際にもロシア人などからの批判反対の声を受け止めている。これだけの平等と自由を徹底して全ての民族に与えている国は西側諸国にも希だ。他のバルト諸国や旧東側諸国が独立後民族によって公然と差別を行い*1争いが絶えないのに比べれば、リトアニア民度の高さは驚異に値する。さまざまな不幸な経緯や差別をはねのけ、リトアニアは自由と平等の最先進国に位置している。

*1:旧支配民族であるロシア人などへの復讐、さまざまな権利の制限や財産の没収といったことが多い

2chという自由

 また日本も他民族への国籍付与には非常に厳しい国である。そして日本人同士においても、暗黙のマナーとして制限されている言動は非常に多い。それが官僚や企業の腐敗を進め、国としての発展を大きく阻害している。
 2chはいろいろと問題もあるが多すぎる暗黙の規制に風穴を開ける存在であり、日本人が初めて得た完全な言論の自由の場である。ねらー達がリトアニア館を愛し跋扈するに至ったのはいくつかの偶然の上での結果だが、なにか必然めいたモノも感じてしまうのである。
 あ、灯台ビールもう一本ね。